鈴木喬 株式会社エステー 取締役会議長兼代表執行役会長

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「ムシューダ」、「消臭力」など家で使っている芳香剤や防虫剤などを製造販売しているのがエステー株式会社。そのエステー株式会社で長らく社長として活躍し、現在は会長の座に就いているのが鈴木喬さんです。

1935年1月18日、現在84歳の鈴木さんは、東京都の出身です。父親は後にエステー化学初代社長を務める鈴木千蔵氏で、その家の四男として生を受けます。1959年に一橋大学を卒業すると、最初は日本生命に入社します。この日本生命では50代までおり、法人営業部第一課長などを歴任。のちのエステーとなるエステー化学に出向することになるのは1985年、53歳でのことです。

エステー化学へ出向後は、企画部長や取締役などを務め、1998年、63歳の時、代表取締役社長に就任します。社長時代には小州ポットや消臭力、脱臭炭などのヒット商品を開発し、2005年には歴代最高の純利益を達成、売上高は社長になってから20%増やすなど結果を出し続けます。その後、いったん社長を退任し、会長に就くとエステー化学からエステーへの社名変更を先導しますが、エステーリーマンショックによる不景気が襲い掛かります。伸び悩みを見せたことで再び鈴木さんが社長に復帰し、経営を立て直した後、また後進に道を譲り、会長として見守っています。

鈴木さんは自らがアイデアマンとして商品開発のヒントとなるものを社員にどんどん投げかけていくのが特徴です。当時芳香剤、消臭剤を販売し、その次は脱臭だとひらめき、商品開発を行います。この商品開発を行う人たちに対し、鈴木さんはあだ名をつけ、そのあだ名で表彰を行う一方、社員の名前は知らないというお茶目な一面を見せます。

偉い人とは話をしないと言い切る鈴木さん、現場の社員を中心に話を聞き、それを見ていた偉い人が慌てだすことで社内が活性化する、鈴木さんの本当の狙いはそこにありました。
現在、姪にあたる鈴木貴子さんがエステーの社長を務めています。日産自動車に入社し、ルイヴィトンジャパン系列の企業を経て、2010年にエステー株式会社に入社し、2013年に社長に就任しました。

元々父親がエステー株式会社の創業者だったため、本流の創業家一族が再び実権を握る形となっています。ただ、喬さんが会長としていることから、実質的には喬さんの意向が強く出やすいです。エステーを成長させ、トップダウンやチームワーク経営を織り交ぜながら、エステーを日本のトップ企業に押し上げたのは間違いなく鈴木喬さんの功績です。